April 24, 2021
【BOOK】どく社『学校の枠をはずした』
若い友だちが出版社を立ち上げた。グラフィックデザイナーの原田祐馬くん、編集者の多田智美ちゃん、同じく編集者の末澤寧史君の3人。名前は『どく社』
大阪は人は多いのに出版社は少ないので、しっかり育つようにご支援お願いいたします。
第一弾は『学校の枠を外した』
学校だけじゃなく、枠を外した方がいいことは多い。
そんなことを考えながら読んで欲しい。
大阪の方、関西の方、そして全国の方、まずは書店の店頭で手に取って!
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第一弾は『学校の枠を外した』
学校だけじゃなく、枠を外した方がいいことは多い。
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【通販購入者への挨拶文より】
≪今日のオススメ − 東京大学先端科学技術研究センター 中邑研究室『学校の枠をはずした』どく社
理解力はあるけど読み書きが苦手、多動でじっとしていられない、コミュニケーションが苦手、そんな子どもがいる。集団と同じことができない。彼らが悪いのではないが、結果不登校になる。彼らにはユニークな才能を持つ人が多い。私の周辺でも、最近取引を始めた子が読字障害、その他厄介なのを(詳細失念)抱えていると言ってるが、仕事をする上で特に障害はないし、とにかく面白い発想をするので新鮮だ。しかし、通常日本ははみ出したものを除外する。教育も然りだ。だから彼らは厄介者扱い。そんな彼らを潰さない教育システムを目指すところから始まった東大の「異才発掘プロジェクトROKCET」。本書では様々なプロジェクトから50のミッションを選択し紹介。どのミッションも一筋縄ではいかないものばかりだ。
例えば『鈍行列車で最果ての地へ行け!』では目的地枕崎でディレクターが「旅を終えて現代日本で失われたものは何か?」と問う。子どもたちは古い建物や道具の写真を見せる。「それなら東京にもあるだろ。もう一回見てこい!」と叱り飛ばす(こんなこと子どもに言える!?)。「やだよ、こんな遠いところ」と言うと「遠かったか。それが答えだよ」利便性と引き換えに私たちが失ったものは大きい。また、『百貨店は百科事典。さまざまな違いを探求せよ!』では、生まれた時にはインターネットで何でも検索できる時代の彼らに「銀って何?」と聞く。「Ag」と元素記号は即答できても銀と鉄の見分けは?陶器と磁器、ウールとシルクは見分けられる?百貨店で実物を見ながら店員に商品の違いやセールストークを聞いたり。ネットで得た知識は本当の知識でないと知る。そしてこれまでに経験したことが全く役に立たないことを知り愕然とする。
読み進むうちに、学ばねばならないのは子どもだけなのか?と感じる。本書中「トップランナーによる名言録6」で養老孟司は警鐘する。銀行に行くと明らかに本人なのに求められる本人確認。病院では患者の顔を見るより検査結果を見て診察する。データ重視で生身の人間は置き去り。危うい社会になっていると。「言葉はものごとを切りとる性質をもっている」という養老が本気で取り組むのが虫。その楽しさは「言葉」にならないそうだ。だから他人に伝えようがないし、伝えようと思わない。脇目も振らず一心不乱に物事に打ち込むと、ともすればはみ出し者扱いされるが、人はノイズ。子どもはノイズの塊。「ROKCET」の教育はノイズを拾っていると評す。私たちは何かをするにつけ、目的を求めたり、利益を追求する。本来は何かに打ち込んで、成果も求めず、目的地も設定せず突き進むことは、唯々楽しい。それでいい。そこに大人も子どももない(大人と子どもは「言葉」で切りとられているだけだ)。
ミッションを終えた子どもたちの感想も素晴らしい。『インドのエネルギーの源をたどれ!』→17歳…「エネルギーというのは、関係の糸のことを言うことに気がついてしまった。つまり目に見えないからと言って、物の間に何か働いているなら、それがエネルギーだということだ。…人間は、五感や経験から頭や知識を駆使することで入ってきた何倍もの大きさの物を生んだり、新たな概念を生んだりできてしまう。」16歳…エネルギー問題に興味はないが「インドの人びとの目の輝きやインドの人びとからあふれ出るパワーというか、エネルギーはわかりました。…エネルギーという言葉は抽象的である。…抽象的だからこそ、それだけに何にでもなれる、何にでも変われる。」
自らを振り返れば、学校で徹底的に考えること、議論することを軽んじ、要領よく生きてきた。受験のための暗記術には長けていた気がする。常に答えがあり、それに到達するにはどうすれば効率がいいのかを重視した。姑息な勉強だ。私は今年還暦。子どもの頃は高度経済成長期。大量生産大量消費でそれこそ効率重視だった。便利な階段が見えていると錯覚し、思考停止だった。ROKCETはそんな日本の教育システムを変えるための、子どもを変えるためのプロジェクトであり、社会を変えるプロジェクト。大いなる実験だ。そもそも従順ではない子どもたちとの喧嘩、保護者からのクレーム、プロジェクトを進めると増えるトラブル等々が発生する。ここに書かれていることは単純な成功物語とは言えないはずだ。ディレクターの中邑先生は子どもたちに寄り添いすぎることなく壁となって彼らに立ちはだかった。立ちはだかる人は、実は上から目線ではない。それはコロナ禍で明確になったであろう。ほとんどの自治体首長は上から目線だ。壁にはなれない。壁になるにはゆるぎない信念が必要だ。そして愛がなければできない。愛がないものには意味がない。
すぐに成果を尋ねる人々がいる。他にはない実験だから成果がそんなに早くわかるわけがないのだが。そもそもはそういう親を、社会を変えていこうというプロジェクトなのである。それが全く理解されていない。勝ち組になるためにやっているのではないのだ。中邑先生は、あとがきで次のように書いている。これから役に立ちそうもないことをコソコソやっている子どもを探して寄り添いたい。そんな子にもまずは小さな壁が必要。小さな壁を超えることが自信になり大きな壁に挑戦するようになる、と。素敵だ。中邑先生はなかなか身近にはいない。人任せにせず自分たちにできることは一体何なのか?と考えることこそ大事である。
最後に、この本の楽しみ方。まず、裏表紙の見返しを開け、帯に使われている紙を確認する。次に、帯を外して表表紙を開け、カバーに使われている紙を確認する。紙の違いを感じよう!
さらに、カバーを外し、表紙に何が書かれているかを確認する。≫
帯を取った
最後に書いたようにいろいろ試してくださいね。
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