September 02, 2014

【EVENT】 9/14 16:00 『2012 チューリッヒ朗読会』模様with谷川俊太郎

2012チューリヒ朗読会1

2014年9月14日(日)16:00〜開催
@スタンダードブックストア心斎橋

2002年から詩を通じて友好を深めてきた谷川俊太郎さんとユルク・ハルターさん。2012年に連詩の本『Sprechendes Wasser (話す水)』をスイスの Secession社から出版(ベルン文学賞、ドイツの装丁デザイン賞多数、受賞)。それは、日本とスイスに離れて暮らす2人の詩人がメールを介して4年間にわたり創作を続けた成果でした。

2012年にチューリッヒで開催された朗読会の模様。


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2012チューリヒ朗読会2


2012年、チューリヒで行われた朗読会。
「偉大なる宗匠の掌の空ろ」(『話す水』より)にいるユルクさんの姿が写っています。宗匠を前にしてユルクさん神妙な面持ちですね。

地球の中心は さらなる中心のまわりをまわる
何十億もの中心は 一つの中心から生まれ出る
それは詩人の頭の中 一本の竜巻の渦の中心に
彼は静かに佇んで この想像ににやりと笑う (ユルク・ハルター)

石畳の上で回っている独楽を跳ね飛ばして
少年は自転車で橋へと走って行った
時空に滴ったインクのしみのような些細な情景
その一瞬も宿命に属している        (谷川俊太郎)
                       -『話す水』から一部抜粋-

スイスでは毎年5月に、中世の面影が色濃く残るソロトゥルンという街で文芸フェスティヴァルが開催されます。
Solothurn


『話す水』の出版を記念し、2012年の文芸フェスで初めてお披露目されました。ドイツ語圏の文学関係者の間では有名な文芸フェスなので、本の宣伝効果は絶大。
hanasumizu

朗読会には、谷川俊太郎さん、ユルク・ハルターさんエドゥアルド・クロッペンシュタイン新本史斉さんが登壇。

日本には古くから連歌という伝統があり、連詩という形式は日本人には馴染み深いものかもしれませんが、ヨーロッパ人には一から説明する必要があります。まず、連詩プロジェクトを紹介した後、谷川さんとユルクさんは、本に収録された36編の詩すべてを交互に朗読。

しかし、普通の朗読の要領とは違います。ユルクさんが自作のドイツ語の詩を読み、谷川さんがその和訳を読んで、続いて、自作の日本語の詩を読み、そして、ユルクさんがその独訳を読んで、続いて、自作のドイツ語の詩を読んで、と、二倍の時間がかかるのです。また、続けて読んで休んでという独特のリズムも生まれます。
聴衆はじっと聞き入りつつ、次第にそのリズムを心地よく感じるようになる。妙な緊迫感が持続したまま、最後の36句目(挙げ句)を読み終え、拍手喝采でした。


その後、2012年チューリヒ文学館での朗読会では、クロッペンシュタインさんが司会、柿沼さん(今回のイベントでも通訳をしてくださいます)は通訳を務めます。36の詩を全て朗読するのは同じ要領です。初お披露目では緊張した面持ちの4人でしたが、打ち解けた雰囲気のなかで対談もスムーズに進み、クロッペンシュタインさん主導からユルクさんのペースに完全に移ったと言えます。

ずばり、谷川さんとユルクさんの会話はテンポがよく面白い。一見、祖父と孫が会話しているように見えますが(?)、実際は、少年のような谷川さんに対し、老成した哲学者のようなユルクさんが冗談を斜めから飛ばすような感じ。

今回の対談では、何よりもユルクさんにとっては初めての試みとなるライブ連詩を作ってみてどうだったか、そのプロセスを率直に話していただきましょう。「孤独な密室での制作」とは違った、詩の古くて新しい生まれ方が示されることでしょう。世代・文化・言語を越えて「詩」という世界共通言語によって、ふたりの対話が生き生きとなされる様を日本の方々にもご覧いただければと思います。

water


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