October 29, 2011

【BOOK】女性による書評集。

女性の作家・翻訳家・エッセイストなどなどによる書評集が最近になって多く刊行されています。お薦めの3点を紹介しますので、この冬読む本を選ぶときの目印にしてみてはいかがでしょうか?もちろん読んだことがある本でも「こんな読み方があったんか!」「そんな意味やったんや!」「なんやてー!」という"ユリイカ"があるかも知れません。

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先ずは翻訳家・鴻巣友季子氏の『本の寄り道』。ヴァージニア・ウルフ「灯台へ」やJ.M.クッツェー「恥辱」などの翻訳で知られる彼女の書評、240冊分。感服の読書量、見習わねばと思います。嬉しいのはその記念すべき一冊目のタイトルが南アフリカ出身のブッカー / ノーベル賞作家、そして担当者が世界で一番すきなJ.M.クッツェーの「動物のいのち」。動物と人間の共存・共生をテーマにした論考なのですが、主要人物としてエリザベス・コステロなる架空の女流作家を登場させてしゃべらせるメタフィジカルな技法をとった難解なもの・・・(ちなみにE・コステロはのちのクッツェーの作品にも同じようにクッツェーの代弁者として表れます)。しかしながら「小説家は小説の中でのみ饒舌になるべきだ」という彼の作家としてのスタンスは、やはりファンの心を捉えて離しません。「小説」は作家の武器であり、われわれ読書家の心の支えでもあるのだなーと、嬉しい気持ちになりました。

その他、ハ・ジンやアンドレイ・クルコフ、村上春樹、小池昌代、柴田元幸など・・・各氏の著作にスマートな問いと読む愉しみを与えてくれる素晴らしい一冊です。最後を締めくくるインドラ・シンハの「アニマルズ・ピープル」で語られる問題提起と文学史観は最高の評では。ため息。

「本の寄り道」
鴻巣友季子(著)
河出書房新社
¥2,310(税込)

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お次も当店にはファンの多いエッセイスト / 料理研究家・平松洋子氏。「野蛮な読書」と題された本書ですが、こちらもとても愉しい一冊です。さすがの名エッセイにちらばめられた日々の読書の記録・・・。なんだかそれを読んだだけで作品まで読んだ気になって、さらにはそれを読んだこともないのにスキだなんて言ってしまいそうな(言いませんが)ほどにこころよい書評集です。

ミルハウザーや川上未映子といった現代作家から、幸田文や田辺聖子など・・・各氏の著作のよさや人懐っこさが散りばめられているようです。

「野蛮な読書」
平松洋子(著)
集英社
¥1,680(税込)

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3冊目は詩人 / 小説家として筆を執る小池昌代氏の「文字の導火線」。もう、知らないことってたくさんあるんだなあーと、子どものようなことを思ってしまうほど幅の広い選書。海外文学の中では、読んだことないけどお名前はカネガネ・・・という作家も多いですが、誰ですか?という作家に出会ったときの未知との遭遇は、立ちはだかる世界を前にしたときの興奮と感動に満ちています。

そして女性的な視点から選んだものが一番多いのも、本書ではないかなあと思います。リディア・フレム「親の家を片付けながら」やリディア・ディヴィス「話の終わり」など、都会的な冷淡さの中にも体温が感じられるような女流作家の評などは、女性のお客さまが冬の読書を決める参考にぴったりではないでしょうか。

割とこういうとき、ぼくは一番「知らない」作家を読んでみることが多いのですが、意外とこの選び方ってハズレが少ないんですよ。きっと先入観がないからだと。本書で一番「知らなかった」ところで、ぼくはロラン・ゴテの『スコルタの太陽』を読もうかなと思います。

「文字の導火線」
小池昌代(著)
みすず書房
¥2,310円


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