October 22, 2011

【BOOK】柴田元幸責任編集『モンキービジネス』最終号

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創刊から三年半に渡り、上質な翻訳や国内外問わず様々な素晴らしい作家による作品を紹介し続けた唯一無二の文芸誌『モンキービジネス』が今回で最終号となりました。巻頭特集は本誌編集長であり、日本を代表する米文学者であり翻訳家である柴田元幸氏による「トム・ソーヤーの冒険」新訳の全文掲載。挿絵は西岡兄妹の西岡千晶さんによるもので、そちらもスキ者垂涎の名仕事です。
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アメリカ文学史を語る上で避けては通れないクラッシック、マーク・トウェイン「トム・ソーヤーの冒険」。児童向けの小説としてのイメージが強い本作ですが、かつて少年少女だった大人にも読んで欲しいとトウェイン自身が生前に語った(たしか序文に綴ったんだったと思いますが)ほど、老若男女あらゆる人々にとって感じるところのある名作ではないでしょうか。米文学における言文一致(書き言葉と話し言葉をほぼほぼ一致させましょうということです)を打ち立てた著者ならではの親しみやすい文体を、さらに現代に蘇らせた新訳ですので、古典はちょっと読みにくそう・・・と思っていた方にもお勧めですよ。

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個人的に一番のお勧めは、こちらも米文学史上欠かすことの出来ない巨匠ナサニエル・ホーソーンによる「ウェイクフィールド」。訳者は柴田元幸氏、挿絵は何と高野文子さん(!)。前回柴田さんに朗読会を開催して頂いた際お聞きして、その意外な組み合わせに少し驚いたのですが読んでさらにびっくり、極上の組み合わせでした。ボルヘスをして「カフカを先取した」と言わしめた19世紀アメリカの巨人による、色褪せない名作を是非!

当時からすでに『都会の中で空洞化し匿名的になっていく社会の歯車としての人間の姿』というテーマを扱い、その不確かな都市生活者像を観察者としての視点からするどく抉った本作。著者の途方もない先見性と芸術家としての矜持が伺えます。大学生だったころ、原著"Young Goodman Brown" (1835)の一遍として読んだこの作品に、静かで、しかしとてつもなく深い衝撃を受けたのを昨日のことのように覚えています。妻にも告げず20年間の理由無き失踪の果て、かつて家に戻ったウェイクフィールドが手にしたものとは・・・。それから加速度的に文学の世界へのめり込んで行き、現在の自分を形成するきっかけとなった作品と言える、個人的に並々ならぬ思い入れのある作品です。


その他にも、下記のような素晴らしい寄稿の数々。
・ニコルソン・ベイカー K590  訳=岸本佐知子 絵=きたむらさとし
・川上弘美 埋め部
・浅尾大輔 猫寿司真鶴本店
・小野正嗣 キーボーとフーヤン
・岸本佐知子 七月一 日 テツ子
・神 慶太  気化
・木村拓治 バビルの塔に住んでいる
・門馬太喜 トゲ
・スポジマイ・ザリアーブ 軍靴の妄想  訳=小沼純一
・古川日出男 二十世紀 第四部 オーストラリア大陸の「苦い野犬」(承前) / 浄土前夜 第五部 いまや浄もなければ不浄もありません


最後に柴田さんからの「猿の仕事」と題された手書きのメッセージ。さらなる活躍に期待しながら、こちらの最終号を堪能してみてはいかがでしょうか?
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BFに「柴田元幸とその仕事」と題したコーナーを展開しておりますので、ぜひお立ち寄りくださいね。

それでは、よろしくどうぞ。



柴田元幸責任編集『モンキービジネス』vol.15 最終号
出版元:ヴィレッジブックス
¥1,600+税


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