April 19, 2011
【BOOK】ナタリア・ギンズブルグ「ある家族の会話」

白水社のシリーズ"海外小説の誘惑"から、1997年刊行のタイトルです。日本でイタリアと言えばこの人、須賀敦子さんの翻訳で。同社から'85年に出たものが初訳だったと思います。ナタリア・ギンズブルグがこれを書いたのが'63年なのでいささか言葉づかいは古くなるのですが、それがまた良くて。
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著者の自伝的な小説として代表作に挙げられることが多い本書。
時代の本流をファシズムが吹き荒れるイタリアで生活を送る、美しい知性と不器用な愛に溢れた家族を娘の目線から描いた秀作です。
実家にいた頃、父親がとても厳格な人だったのをよく覚えているぼくには、苦笑してしまう似たような体験があったり。何となく図星の多い作品でした。それでも、読み終えた時に微笑ましくページを閉じることができたのは著者と翻訳家の紡ぎあげた素晴らしい文学性ゆえでしょうか。
中南米あたりの文学にはどちらかといえば疎いぼくですが、日本人の目線から読んでも非常に楽しめる一冊ではないかと思います。主観性を無理にもたなくとも、わりかし楽に読める作品です。
時々お客様と話していると、海外文学が苦手だという声がありますが、入口さえしっくり来れば逆に後戻りできなくなる魅力に溢れた世界でもあります。翻訳家や作家の人となりとの出会いがそれを後押ししてくれるとすれば、こういった自伝的な小説はもってこいではないでしょうか。
ところでいつも思いますが、白水社のこのシリーズのカバー装画は作品に寄り添うようなものばかりで、ぼくも精読してからこのブログで紹介しなければと背筋が伸びてしまいます。こちらは有本利夫氏によるもの。読んでみると、ほんとにぴったり合う絵ですよ。
ひとり暮らしの方、故郷の家族を思い出しながら、休日のゆったりとした読書の時間に。ぜひともお薦めの一冊です。
ナタリア・ギンズブルグ(著)須賀敦子(訳)
「ある家族の会話」
白水社
¥950+税
BF/文芸の棚
時代の本流をファシズムが吹き荒れるイタリアで生活を送る、美しい知性と不器用な愛に溢れた家族を娘の目線から描いた秀作です。
実家にいた頃、父親がとても厳格な人だったのをよく覚えているぼくには、苦笑してしまう似たような体験があったり。何となく図星の多い作品でした。それでも、読み終えた時に微笑ましくページを閉じることができたのは著者と翻訳家の紡ぎあげた素晴らしい文学性ゆえでしょうか。
中南米あたりの文学にはどちらかといえば疎いぼくですが、日本人の目線から読んでも非常に楽しめる一冊ではないかと思います。主観性を無理にもたなくとも、わりかし楽に読める作品です。
時々お客様と話していると、海外文学が苦手だという声がありますが、入口さえしっくり来れば逆に後戻りできなくなる魅力に溢れた世界でもあります。翻訳家や作家の人となりとの出会いがそれを後押ししてくれるとすれば、こういった自伝的な小説はもってこいではないでしょうか。
ところでいつも思いますが、白水社のこのシリーズのカバー装画は作品に寄り添うようなものばかりで、ぼくも精読してからこのブログで紹介しなければと背筋が伸びてしまいます。こちらは有本利夫氏によるもの。読んでみると、ほんとにぴったり合う絵ですよ。
ひとり暮らしの方、故郷の家族を思い出しながら、休日のゆったりとした読書の時間に。ぜひともお薦めの一冊です。
ナタリア・ギンズブルグ(著)須賀敦子(訳)
「ある家族の会話」
白水社
¥950+税
BF/文芸の棚