October 27, 2010

【BOOK】ノーベル文学賞受賞

ノーベル文学賞を受賞したのは、ペルー出身で現在、ラテン・アメリカ文学界を代表する作家のひとり、マリオ・バルガス=リョサ氏。氏はエッセイスト、ジャーナリストとしても素晴らしい作品を数多く残しており、ラテン・アメリカ作家の多くがそうであるように、政治的発言も多く、1990年のペルー大統領選に立候補している。(惜しくも敗れる。勝ったのはアルベルト・フジモリ氏)

受賞理由は「権力構造の地図と、個人の抵抗と反抗、そしてその敗北を鮮烈なイメージで描いた」、というもの。1982年のガルシア・マルケスの受賞以来、長年の間有力候補とされ続けて後の受賞。ペルー国籍のノーベル賞受賞は史上初。

そのリョサ氏の小説としての代表作が「楽園への道」。

フローラ・トリスタン。「花と悲しみ」という美しい名をもつ一人の女性。彼女は、女性の独立が夢のまた夢だった19世紀半ばのヨーロッパで、結婚制度に疑問をもち、夫の手から逃れて自由を追い求めた。そしてやがて、虐げられた女性と労働者の連帯を求める闘いに、その短い生涯を捧げることとなる。

孫であるポール・ゴーギャン。彼もまた、自身の画のためにブルジョワの生活を捨て、ヨーロッパ的なるものを捨てて、芸術の再生を夢見つつ波瀾の生涯をたどる。貧困、孤独、病など、不運な風が吹き荒ぶ逆境の中、それぞれのユートピアの実現を信じて生き抜いた二人の偉大な先駆者を、リョサは力強い筆致で描ききる。

河出世界文学全集にも収録されている本作。編者の池澤夏樹氏はこう言う。
「文学はいつも反逆者の味方だ。絵を描くためにフランスを捨てて南の島に行ったゴーギャン、男性社会の偽善を糾弾したフローラ。彼らの反逆は今に通じている」と。

「楽園への道」マリオ・バルガス=リョサ 河出書房新社 ¥2730

地下 海外文学コーナーにあります。






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