September 27, 2009

【BOOK】一冊の本の背後にはたくさんの本がある。その2

090927_1825~01 池澤夏樹さん責任編集 河出書房新社 世界文学全集全24巻

 人がひとりでは生きて行けないように、文学は一冊では成立しない。一冊の本の背後にはたくさんの本がある。本を読むという行為は、それまでに読んだ本を思い出す行為だ。新鮮でいてなつかしい。そのために「文学全集」と呼ばれる教養のシステムがあった。それをもう一度作ろうと僕は考えた。

 3ヶ月で消えるベストセラーでなく、心の中に十年二十年残る読書体験。その一方で、それは明日につながる世界文学の見本市、作家を目指す若い人々の支援キットでなければならない。

 世界はこんなにも広いし、人間の思いはこんなに遠くまで飛翔する。by 池澤夏樹

 その世界文学全集が佳境を迎えつつある。これからしばらく収録された作品群を紹介していきたい。


2回目は「アデン、アラビア 名誉の戦場」(著者はそれぞれニザンとルオー)と「ハワーズ・エンド」(E・M・フォースター)だ。

 全集選者の池澤さんは「アデン、アラビア」をこう紹介している。
「若い人間にしかできない断言がある。余計なことを知って堕落する前の断言。・・・書き出しの言葉を始めて読んだ時、それはフラメンコのギターのように美しく響いた。

 その書き出しはこうだ。
「僕は二十歳だった。それが人生でもっとも美しいときだなんて誰にも言わせない。何もかもが若者を破滅させようとしている。恋、思想、家族を失うこと、大人たちのなかに入ること。この世界のなかで自分の場所を知るのはキツイものだ」

憤怒と叛逆に彩られた若者の永遠のバイブル。フランス生まれのニザンはヨーロッパに突如出現したビート・ジェネレーションの先駆かも知れない。本書もまさにロード・ノベルの先駆けだ。 
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090927_1823~01 続けて紹介するのはイギリス文学界の重鎮、E・M・フォースターの「ハワーズ・エンド」。

 池澤氏はこう言う。「違う文化を出自とする人間達が出会い、愛し合うようになる。しかし、人と人との間で文化は衝突し、愛は苦戦を強いられる」


「人と人は真に理解しあうことができるのか」と。

 愛と寛容をめぐる不朽の名作を吉田健一さんの香気ある翻訳でどうぞ。フォースターといえばイギリスの文化や価値観を最もうまく小説にこめることのできる作家。他には映画にもなった「眺めのいい部屋」「インドへの道」「モーリス」などがある。
会話を中心にしながら異文化や価値観の衝突をこれほどうまく格調高く表現する作家はいない。

 地下 海外文学売場に河出書房新社の「世界文学全集」コーナーを常設。これからもライン・アップの中から2作品づつ紹介していきます。

「アデン、アラビア/名誉の戦場」  ¥2520 税込
「ハワーズ・エンド」       ¥2730 税込 by S

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