August 13, 2009
【BOOK】じじい。イカしてるぜ。
1900年代初頭、イギリスのあるおじいさんがインドに暮らす孫4人に手紙を送っていました。しかも毎週毎週全員に。その総数はなんと！1200通！たんなる手紙じゃない。手書きの絵手紙なんです。おじさんの名はヘンリー・ソーンヒル卿。近時、イギリスのTVで取り上げられ話題に。ひ孫のタンスから偶然発見されたのです。
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その絵手紙のタッチのなんと素晴らしいこと！撮影が下手でうまく画像では伝えきれていないのが残念です。優しさと暖かさ溢れる線と色使い。的確なデッサン。観察力。下手うま、ではない。めちゃめちゃうまいのである。もちろん各孫たちへのメッセージも。
時には絵手紙、ときには絵葉書。あるときは封筒裏表一面に絵が描いてあるものも。動物や鳥、魚、飛行機、物語風なものも。ソーンヒル卿は退役軍人。遠く離れて暮らす孫4人への慈しむような眼差しがジンジン伝わってくる。まるでこれらの絵手紙を見て笑っているちびちゃんたちの笑顔が見え、笑い声が聞こえてきそうだ。
電子メール全盛のこの時代。「読んでくれてもいいし、そうでなくてもいいよ」そんなおじいさんの声が聞こえてくるようです。たかがメール。メッセージは相手を縛り、何かを期待するようなものであってはいけないはずです。いつ届くかわからない。ましてや届くかどうかすらわからない。そんな中で時間をたっぷりかけて思いを届けたおじいさん。
キーを押すのでは伝わらない何かがここにはある。
かけた時間が愛情の深さ。わたしはそんなふうに思う今日このごろ、なのです。
「おじいちゃんの絵手紙 孫にあてた1200通のおくりもの」
絵 ヘンリー・ソーンヒル卿
講談社 地下絵本・児童文学コーナーにあります。 by S
