November 12, 2017

【BOOK】フェア「滝口悠生の本棚」【本のうら表紙♯6】

本のうら表紙♯6

茄子の輝き」(新潮社)
高架線」(講談社)刊行記念

滝口悠生の本棚
スタートしました。

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※「高架線」は2017年9月29日発売!
当店にも入荷済です。




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こんにちは。書籍担当のさとうです。

みなさま今年の夏はいかがでしたでしょうか。
今日は8月31日。吹く風の中に、夏ではない何かが混じりはじめたように感じます。

追記を書いている今は9月29日。朝晩の空気の冷たさがまた一段階。

二度目の追記を書いているのは11月12日。
街にイルミネーションも灯り始め、寒い毎日が続いています。



さて、前回の【本のうら表紙】から長い日数が経ってしまいました。

本日は8/31よりスタートしたフェア『滝口悠生の本棚』をご紹介したいと思います。

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まずはこのフェアの主役、滝口悠生さんのご紹介をさせてください。
滝口悠生ってどんな人?
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滝口 悠生|yusho TAKIGUCHI
小説家。1982年東京生まれ。2011年「楽器」で新潮新人賞を受賞してデビュー。2015年に映画「男はつらいよ」をモチーフにした『愛と人生』で野間新人文学賞。2016年『死んでいない者』で芥川賞。他の著書に『寝相』『ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス』。6月に短編集『茄子の輝き』(新潮社)を刊行。9月末には『高架線』を刊行。
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当店でも過去2回イベントを開催しています。
『茄子の輝き』刊行記念 滝口悠生さんと「日記」を書こう!ワークショップ
「スナック中川 Vol.01~『疾駆』~」刊行記念トークショー

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このフェアは「選書フェアなぁ…もっと面白い形でできひんかなぁ。」というぼやきからはじまりました。

選書フェアはとてもすきだけど、なんだか同じような形ばかりで物足りなくなってきた。

ほんの少しの違いでも、いままでと違うことができたなら、開催する側も、来て下さるお客様も、いまよりほんの少しだけ楽しめるようになるのではと、漠然と考えていたのです。

そこでイベントに来てくださった芥川賞作家の滝口悠生さんに、
「なにかフェアをしたいんです。あ、そうだ。滝口さんの本棚見せてもらえませんか?」と到底断られそうな企画を投げかけてみました。

すると滝口さん。「オッケー、まかしてー!」とのこと。
「なんと!?それは今すぐに企画書を!」等やりとりがはじまり、そんなこんながあり滝口悠生さんの家にある本棚を再現してしまった、というフェアです。

以前から、雑誌などで作家さんの本棚を紹介するコーナーを見るたびに、これ本屋でちゃんと再現できたら誌面で見るよりおもしろいやろなぁ、しかも気になった本すぐそこで買えるしなぁと考えたことが何度かあったのです。

作家さんは、どんな本を読んでいるんだろう?

どんな本を読んできたんだろう?

執筆の際に必須の本はあるのかな?

その本たちを並べてみると、インタビューをするより、もしかしたら作家さんのことが知れるかもしれない。

そして「茄子の輝き」(新潮社)は6月末に発売され、新刊の「高架線」(講談社)は9月末に発売。どうにかこの2つをつなぐべく、橋渡しができるようなフェアにしたい。

今回は滝口悠生さんに全面的にご協力頂き、実際に家にある本棚の写真撮影(こちらは実際にコーナーに貼り出しています。)、手描きPOP、選書、そしてフェアに際しての寄稿までいただきました。

本棚の詳しいラインナップに関しましては、少しずつツイッターやインスタグラムで告知していきますね。

その冊数なんと約70冊
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中には今回特別に滝口さんの蔵書をお借りしているものもあります。
こちらはご購入いただくことは出来ませんが、絶版のものや滝口さんがつけた付箋がそのままになっていたりと、大変貴重なものもございますので、ぜひこの機会に手にとってみてください。

そして貼り出しているPOPはすべて滝口悠生さんの手書き。
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滝口悠生さんが参加されているリトルプレスも何点かご用意いたしました。
ランバーロール」、「歩きながら考える別冊 酔いながら考える」。
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フェアも折り返し地点まで来ました。(17.9.29現在)
ツイッターでアップしていたものをこちらにも掲載しますので、改めてフェア内容を一緒に振り返っていただけるとうれしいです。
さらに更新しました。(17.11.12)
ツイッター上で滝口さんが補足してくださった画像と文章を掲載。
紫の文章は滝口さんの補足分です。


水上滝太郎『大阪の宿』。
滝口さんの蔵書で付箋もそのまま。こちらはお買い求め頂けませんがぜひ手にとってご覧ください。
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「舞台は土佐堀川沿い。全編酒飲みっぱなしの酔っぱらいっぱなし。でたらめなおつさんや、酒乱の芸者、宴会、そしてすばらしいラストシーン!おすすめ!古本屋で探して!」

先日夏の文学教室でも取り上げた水上瀧太郎「大阪の宿」。探して読んでみたらおもしろかった、という感想もその後ちょこちょこいただいて嬉しいです。最初から最後まで酒飲みっぱなしの酔っ払いっぱなし。ラストも最高。おすすめです。最近まで講談社の文芸文庫にあったのですが今は品切。でもこれまでいろんな版元で文庫化されているし、その気になれば古本屋さんで見つけるのは難しくありません。青空文庫もあります。
スタンダードブックストアで蔵書展示中の【大阪の宿/水上瀧太郎】より「おつさんおつさんと呼ばれて居るのは、おかみさんの母親の弟で、何をしても物にならず、身内の者に迷惑をかけながら六十近くになつてしまつた人間で、醉月にころがりこんでからでも數年になる。」……続(中略)「小遣錢を貰つた時は何處かに飲みに行くし、まるつきり懐中の空つぽの時でも、何處といふあて無しにうろついて居るやくざで、其の日其の日をもて餘し切つて居た。」(「大阪の宿」二の一より)この「おつさん」が要所要所で現れて出鱈目に物語を動かしていきます。


広瀬和生『「落語家」という生き方』。
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「僕は落語家になりたかったし、今もなりたいと思っています。」

正確に言うと家人の本棚にあって手にした本。今はそのまま僕の本棚に収まってます。ナウ・オンな若い噺家たちへのインタビュー。普遍的な落語へのリスペクトはありながらも、落語の「これから」を大いに期待させてくれるインタビュー集です。落語家はたぶん生涯あこがれの職業。


チャールズ・シャー・マリー『ジミ・ヘンドリックスとアメリカの光と影』。
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「ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス」を書いていた時に、いろいろ読んだジミヘン本の中でいちばんよかった本。あの音を生んだ生き様である。アメリカ文化史としてもおもしろいです。」



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「不思議さが不思議なままに書かれている。こんなふうに書けたらと思うけれど、無理。『山東京伝』が特に好きです。」



徳田秋聲『黴・爛』。
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「徳田秋聲は昨年ごろから読みはじめて、大正期のいわゆる自然主義作家のなかでも文章の洗練度が高く、全然古く感じない。もうすぐ秋聲ブームがくるはずなので、みんな今のうちに読もう!」この作品は滝口さんの一押し。

徳田秋聲は去年ご当地金沢の記念館で朗読の機会があって、ほぼはじめて読んだ。館員の方が、今はほとんどの本が絶版になってしまって…と嘆いておられたが、ことし講談社文芸文庫が復刊してくれました。
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こちらは去年秋聲記念館で買ってきた記念館刊行による文庫の『黴』。もっといろんな作品が出るとよいです。講談社文芸文庫の『あらくれ』という作品は新刊書店でも入手できます。記念館、それから去年青山「本の場所」での朗読会でも秋聲の「町の踊り場」という作品を朗読しました。



保坂和志『小説の自由』。
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「僕はこの本を読んで小説家になったと思います。小説に限らず、美術・音楽…あらゆる芸術にかかわる人におすすめ。」
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うちにある新潮社の単行本はもうぼろぼろ。文庫も買ったけどそれはたしか人に貸して、貸したらその人も読んでるうちにぼろぼろになったというのでそのままあげた。続編の『小説の誕生』にいたってはページがとれてしまった。


横光利一『機械』。
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「『機械』はいくら読んでも肝心のところが謎。本当にわからない。70年経っても謎のままであり続けるというのが凄い。やばい。狂ってる。狂ってない小説が全部つまらなく思えてくる。俺も狂おう、と思えてくる。」

先日宮沢さんの本でも触れた横光利一『機械』。なんだこれはー、と興奮して読んだのを思い出す。僕は岩波文庫で読みましたが選書棚の目まいする感じの表紙は新潮文庫のもの。岩波文庫もまだ売ってますが収録作品は少し違うと思います。
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これ。大学の講義で読んだんですけど、そんなに貼ったら意味なくない?というくらい付箋が…。開いてみると(ふだんあまりしないのですが)書き込みもたくさんしてあった。


宮沢章夫『時間のかかる読書』。
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「横光利一の短編『機械』を11年かけて(!)読んだ記録。小説を読むことの核心を、ただ時間をかけることだけで、どんな批評よりもクリティカルに突っつく名著。読書は読まないことから始まる!」
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先日紹介して頂いた宮沢章夫さん『時間のかかる読書』(河出文庫)。うちにあるのは単行本で「横光利一『機械』を巡る素晴らしきぐずぐず」という副題がついてた。この本は先日の中日新聞のエッセイでも少し触れました。

R・マリー・シェーファー『世界の調律』。
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「学生の頃、環境音や物音に夢中になって手にした本。読むと耳が変わる。デビュー作の『楽器』はこの本に学んで書いた部分が多いです。復刊希望!」

マリー・シェーファー『世界の調律』(平凡社ライブラリ)は残念ながら版元品切のため僕の蔵書を展示。多分沢山ページの端が折ってあるはずなので店頭で確認を。サウンドスケープ(音の風景)という概念の紹介・入門書的な本ですが読みやすいです。


梶井基次郎『檸檬』。
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「日本語で書かれた小説のなかで最も鮮烈なあの場面。若いうちに読むのがいいのかなと思ったけど、読み返してみたらそんなことなかった。読めば一瞬で10代のよるべなさがよみがえる。」
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心斎橋スタンダードブックストアでの「滝口悠生の本棚」。お店のアカウントが毎日丁寧に本を紹介してくれて嬉しいです。本棚再現ということでうちの本棚にある本が並んでますが、いま仕入れ可能なものを並べてもらっているので、僕が読んだのとは版元が違ったり文庫になってたりするものも多く、なので、手元にあるのもときどき紹介してみます。今日紹介してもらった「檸檬」。うちの本棚にある、僕がむかし手にしたのは集英社文庫のものでした。91年発行で2刷の版なので、どっかの古本屋で買ったのだと思います。で、本棚見てたらカバーのない新潮文庫もあった。これはたぶん妻のもの。いま選書の棚にあるのは現行の新潮文庫の「檸檬」です。表紙かわいいね。



津村記久子『ウエストウイング』。
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「津村さんの小説は、人がちゃんと書かれている。公平で誠実。というとカタイかもですが実はそれがいちばんパンクでロックなはず。」
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スタンダードブックストアには津村さんの本はいつもたくさんあるはずなので、僕が選ぶ必要もないのですが…これだけは外せない!ということで。大好きな、心の寄す処的な一冊。ちょうど文庫が出たばかり(朝日文庫)。うちにあるのは単行本で、重いですが、手に取るとこの本を持ち歩いて読み進めていた時のことが思われて、よい。


トム・マッカーシー『もう一度』。
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「事故で記憶を失った男が、巨額の補償金をつぎこんで、自分の頭にかすかに残った過去の一瞬の記憶を〈再現〉する。役者を雇い、土地や建物もがんがん買う、狂気の沙汰!壮大な茶番と歪な語りでつきあいきれない気持ちになるが、読み終わると忘れられぬ感触が。」

誤解を恐れず言えば、面倒くささがくせになってくせになって愛着がわく、みたいな感じの読み応え。近年「どっぷりはまって読んだ」感が最も強かった一冊です。『もう一度』。同じクレストブックスから今年出たテジュ・コール『オープン・シティ』がよかった人はきっと好きなのではないかと(逆も然り)。どっちも柴崎友香さんが書評書いてて新潮社のページで読めます。


夏目漱石『草枕』。
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「漱石で一冊選ぶならこれ。屋外の描写が多いから、明るくてよい。造形屋のバイトの昼休みに外で読んだ。」
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我が家の本棚にはどうしてか岩波文庫の草枕が二冊ありました。上の小口、天アンカットというやつですね。選書の棚に並んでるのは新潮文庫の草枕なので、これも上がぎざぎざのはず。



コルタサル短篇集『悪魔の涎・追い求める男』。
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「渋滞が動かなすぎて、そこに住みはじめちゃう小説があってね、とむかし友達のオオノくんに教えてもらった一冊。『南都高速道路』よいです。」
そしてコルタサル。そうそう、オオノくんに教えてもらって読んだ本。


小山田浩子『工場』。
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「ブラックミュージックのぶっといベースみたいな重くて太い文体。そこに絶妙に絡む笑いのグルーヴ。僕は小山田浩子はFUNKだ!と思ってます。」

新潮新人賞の一年先輩のデビュー作。装丁のワイズベッカーもよい。ちなみに小山田さんの作品でもっともファンキーだと思うのは、まだ単行本に収録されていない「名犬」という短編(新潮2016年1月号)です。温泉で老婆が鳥みたいな声をあげる場面があるんですが、そこのインパクトがすごい(「名犬」)。『工場』で好きなのはUNYUと焼肉の場面。『穴』で好きなのは水撒くじいさん。今「工場」をぱらぱら読み返してたんですが、やっぱりすごくおもしろくてざわざわします。小山田さんの小説には動物とか変な生き物がよく出てきて、その描写がいちいちおもしろくて魅力的です。ぞわっとするのだけど、でもなんか笑ってしまう。



青木淳悟『私のいない高校』。
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「滅法おもしろいのに、なんでおもしろいのか全然わからないから超不安になる。同年代の作家のなかで100年後も読まれ続けるのは青木さんだけじゃないかとおもいます。生きる伝説青木淳悟。」
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ふだん小説読まなくても実験音楽とかいわゆるアヴァンポップとか好きな方はぜひ。読んでいると、小説よりもそういう音楽を聴いてる感じに近い気がします。驚きのラストも素晴らしいです。『学校の近くの家』(新潮社)もお勧め。こちらは小学校(学校好きだな青木さん)。小学生の頃の記憶が異様な鮮明さでよみがえること請け合い。青木さんの記憶も大いに投影されてると思われるのですが、僕と青木さんは出身が隣町同士で、この作品の舞台とほぼ同じ時代・地域で僕も小学生だったのです。なので誰よりも楽しく読めた自信がある。書評も書きました。こちら。この本装幀もよいです。表紙の書名と著者名の文字は、本物の小学生に書いてもらったと聞きました。


小島信夫『美濃』。
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「選んでおいてなんだが、完読してない。もうかれこれ10年ほど、読みかけては途絶、を繰り返している。でもその度におもしろいので毎年読む。そして途絶する。今年も読む。そして多分また途絶する。死ぬまでに読み終わるのか。終わりなんてあるのか。」

柴崎友香『春の庭』。
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「柴崎さんの不動産描写を堪能できる。(『パノララ』もよいですね。)ある時期以降の柴崎さんの作品に現れるなんやそれ、みたいな笑いがとても好きです。本作15〜16pの沼津くんのくだりとかサイコー」

不動産の描写は自分で書くとなるととても難しいしいつも面倒になってしまうのだけど、柴崎さんの小説で読むといろんな物件がそれぞれに楽しいのですよ。

清水義範『国語入試問題必勝法』。
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清水義範『国語入試問題必勝法』(講談社文庫)は小学生の高学年頃におもしろいなーと読んでた本。清水氏のパスティーシュものはその頃他にもいろいろ読んだ。今回の選書で久しぶりに手にして、結構影響受けてるかもと思いました。清水義範さんの三億円事件の小説があって、当時はそれを繰り返し読んでた覚えがあるんだけど、今うちの本棚に見つからなくて今回は選ばなかった。これだ。「青春小説」。今は絶版なのかな。むかし読んだのはたぶん講談社文庫のだった。



金川晋吾『father』。
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「失踪癖のある父親を被写体にした写真と日記からなる写真集。ドキュメンタリーのようでいて、実はフィクションでもあり、一筋縄ではいかない。親と子、虚と実、その間にある感じの作品。笑いもある。が、金川さんは笑いの反対側に立っている気がする。笑いの反対ってなんだろうか?」

コンセプトと写真は言うまでもなく、併録の日記がとてもおもしろいです。去年くらいから日記についていろいろ考えたり書いたりするようになったきっかけでもあります。金川さんの文章、今連載中のこちらも毎回おもしろいです。「fatherのその後」的な内容も。


柴崎友香『わたしがいなかった街で』。
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「これも引っ越しにはじまって不動産描写があるけど、引っ越してきた家とか街になじんでいく感じが印象ぶかいです。作中の舞台である世田谷あたりに自分が住みはじめた頃に読んだのでなおさら。作中出てくる「やばパン」の店もわかる。」

つげ義春『ねじ式・夜が掴む』。
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「『ねじ式』も凄いが、夢日記ものの短編・『コマツ岬の思い出』がマイベストつげ義春。リアリティとはこういうものだ、と思う。」
つげ義春マイベストは「コマツ岬の生活」です。「死んでいない者」でよくわからない人が川に浸かってちめたーいというのは「コマツ岬の生活」のラストからきてる。かもしれないです。
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うちにあるつげ作品たち。小学館文庫、新潮文庫など。いま書店で探すならちくま文庫のつげ義春コレクションが充実してます。
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この『つげ義春とぼく』は漫画でなく文章。旅日記や夢日記がすごい。先の「コマツ岬〜」の元となっているのも夢日記。この新潮文庫は残念ながら品切のようですがちくま文庫の『苦節十年記・旅籠の思い出』という巻に日記が収録されてます。選書に入れたので一緒に並んでるはず。


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浅草特集の『疾駆』8号も並んでます。浅草漫歩記を寄稿。手書き原稿をビジュアルにたくさん使ってもらいました。疾駆はその後2号続けての奈良美智さん特集が大好評だそう。毎回造本が凄い。5月には居酒屋イベントもやらせてもらったんだった。今年はこのお店でいろんなことをしたんだなー。



ジャック・デリダ『声と現象』。
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「書くこと/読むことの表裏一体。朗読をすることが増えて、改めて読み直し、得るところ大きな一冊。」

寺尾紗穂『南洋と私』。
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「丁寧に取材され、丁寧に書かれる寺尾さんの本にはいつも感動と同時に背筋が伸びる。知ることと書くことへの真摯な態度。あくまで個人に向ける視線。なんて信頼できる書き手なのだろうか!」

寺尾紗穂『南洋と私』(リトルモア)。寺尾さんが訪れている八丈島で僕は生まれたんですが戦中の話はこの本で読むまで全然知らなかった。各ページに付けられた注釈がとてもよい。最近出た続刊が『あの頃のパラオをさがして』(集英社)。


町田康『夫婦茶碗』。
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「20歳くらいの時に出会った町田康。の、衝撃は忘れられず、しばらく脳内が町田康状態に。併録の『人間の屑』もよい。(『けものがれ、俺らの猿と』の映画もよかった。)」
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滝口さんの解説が読める『この世のメドレー』も本棚に。

大谷能生『貧しい音楽』。
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「朗読などでご一緒することの多い大谷さんの本。音楽論でありながら、文学論としても大変刺激的!」

今年何度か朗読イベントにお声がけいただいた大谷能生さん(今夜もイベントがあります)。音楽については今更言うまでもないのですが、大谷さんの散文論は小説を書く/読むうえでも大変示唆的です。


上田岳弘『太陽・惑星』。
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「大言壮語して、有言実行する作家」

これは我ながらいいポップが書けたと思う。大言壮語して有言実行。スケールのでかさとパワフルな書きぶりが上田作品の読みどころだと思います。一方で人間関係に独特の情感とフェアネスが描かれていて僕はそこも好きです。上田さんは『新潮』で新作「キュー」を連載中。


『ランバーロール0号』。
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森泉岳土、おくやまゆか、安永知澄の漫画家三氏の同人誌創刊号。ゲストで小説家4人(太田靖久、上田岳弘、高橋弘希、滝口)が短い小説を寄せてます。僕は「温み」という銭湯に行く話を。初めて書いた掌編です。森泉さんは新刊『報いは報い、罰は罰』(上下巻・KADOKAWA)が出たばかり。これ前に森泉さんから直々に説明してもらったことがあるんだけど、人物や風景をばらばらに描いてあとから組み合わせるというのを聞いて、なんて複雑な! とびっくりした。小説は文字書くだけだから楽だわー、と思ってしまったよ。


横尾忠則『憂魂、高倉健』。
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「高倉健さんが好きだ!という気持ちだけでできている超クレイジーな本。流通してて驚いた。復刊した国書刊行会に拍手!!15000円也!(税別!)さぁレジへ!」
間違いなく選書のなかで最狂本。表紙に「高倉健賛江」って書いちゃってるし。びびっときたら値段を見ずに買う系の本ですよ。だめ元でリストに入れたら並べてくれたのでフェア中になんとか一冊売りたい…。
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ちなみに「愛と人生」を書く時になんとなく頭にあったのがこの本です。参考文献とはまた違いますがオマージュのあり方として。画像はうちにあるオリジナル版。函から出すとこの謎の表紙。なかは学生時代の写真や様々なビジュアルや記事で構成されてます。




金子光晴『下駄ばき対談』。
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「去年教えてもらって読み、ハチャメチャぶりに驚いた対談集。いろいろギリギリというか、アウト。こういう本はもう作れないんだろうなぁ。ヒドイんだけどチャーミング。吉行淳之介との対談がいちばんオススメ。」
『下駄ばき対談』金子光晴(現代書館)。去年『群像』の「美しい日本語」特集(17年1月号)でも挙げた一冊。50名ほどの執筆者の掲載が年齢順で僕はいちばん最後だったんですが、文字通り末席を汚しに汚して痛快でした。



井伏鱒二『珍品堂主人』。
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「むかし島田さんにもらった本。いろんな作品を書いた井伏鱒二ですが、じわっと笑えるものがすきです。表紙もよい。犬。」

こうの史代『さんさん録』。
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「妻に先立たれた夫が、書き残したノートを見返しながら家事に励む話。こうのさんの漫画の細かな家事の描写が好きで、家事のことがいっぱい出てくるこの作品は特にお気に入り。」

『さんさん録』こうの史代(全2巻/双葉社)。何度も読み返した大好きな漫画。1巻の「家人の背中」というお話に流れる時間とか素晴らしいなと思います。『夕凪の街 桜の国』『長い道』『この世界の片隅に』など他作品も愛読してます。『さんさん録』は、ボタン付けとか、アイロンがけとか、苦手な家事をする時に実用目的で開くことも多い。主夫必読の漫画です。


吉増剛造『我が詩的自伝』。
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「現代詩の巨人吉増剛造が語り下ろした自伝。語りの採録、というのがミソで、吉増さんのほとんど音楽と言うべき語りが味わえる。もちろん内容も超絶刺激的でグラグラします。」

『後藤明生コレクション』。
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「刊行中ですが、月報を書いたこともあり今回は1巻をチョイス。後藤明生初期の作品が収録されています。個人的には初期の方が好きで、後藤明生的不穏さと後藤明生的滑稽さがみなぎっています!変!」

アナトール・フランス『少年少女』。
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「アナトール・フランスが子ども向けに書いた短編集。子どもに向ける、というのは言葉や文章の程度を下げることではなく、想像力を以て子どもの世界へと書き手が向かうこと。優れた童話や絵本はそういうものだと思う。残念ながら絶版につき蔵書を展示するのでどんどん立ち読みしてください!」

『少年少女』アナトール・フランス(岩波文庫)。訳は三好達治。絶版なので僕の蔵書を展示してます。古本屋で見つけると放っておけずに連れ帰ります。名著と思う。復刊しないかなー。


デイビッド・グラッブス『レコードは風景をだいなしにする』。
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「音を聴くこと、音を録ること、録った音を聴き返すこと。とはなにか?耳論。著者自身も素敵なミュージシャンです。」

M・ハイデガー『存在と時間』。
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「デビュー前、小説を書きはじめた頃にうんうんうなりながら読んだ。(最後まで通読してない)すいません。でもそういう経験は大事。」

ユリー・シュルヴィッツ『よあけ』。
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「むかし幼稚園で働く友達に教えてもらった。なので大人になってから知った絵本。もし自分に子どもがいたら、読もうが読むまいが本棚に入れておいてあげたい。大きくなってからこの静けさの体験を不意に思い出したりすることがきっとある。」

武田百合子・野中ユリ画『ことばの食卓』。
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「食べもの、食べることにまつわる名著。『枇杷』の素晴らしさ!」

星新一『きまぐれロボット』。
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「いちばん最初に買った小説の本。たぶん小学三年生のころ。同じ角川文庫だけど当時は和田誠さんの挿絵が入っていたな。」

田口犬男『モー将軍』。
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「よくわからなかった『現代詩』を、おもしろいと思わせてくれた詩集。笑いやポジティブなだけではないのだけれど、不思議と明るさが満ちていて元気が出る。」

『時刻表と地図』。
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「このふたつなしに小説書けません。(空想の逃避行に出てしまうことも。)」


紹介文はすべて滝口さんの手描きPOPより引用しています。
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滝口さんのツイッターにてさらに補足がついています。
よろしければ滝口悠生さんのTwitterもぜひご覧ください。
@takoguchiyusho


今回はフェア本お買い上げの方に、小冊子をレジにてお渡しさせていただきます
滝口悠生さんの短文「滝口悠生の本棚によせて」、本棚全リストが掲載されたオリジナル冊子です。
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さらに新潮社から「茄子の輝き」刊行の際に発行された記念小冊子『茄子が輝くまで』を滝口悠生さんの著書お買い上げの方に進呈いたします
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新刊「高架線」お買い上げの方には「茄子の輝き」と「高架線」をゆるやかにつなぐ掌編小説掲載の『寝上戸の友達』も進呈いたします。
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つまり「高架線」お買い上げの方には小冊子を3つプレゼント
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多い…!けれど滝口悠生さんの小冊子でしか読めない文章をこんなに読めるなんて。
短い中にもぐっと引きこまれてゆきます。小冊子を読むとさらに新作もたのしめる。

フェア台には実際に滝口悠生さんの家にある本棚の写真も展示しております。
選書の中にない本ももちろんたくさんあり、眺めるだけでも楽しい。ぜひ併せてご覧下さい。
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このフェアは滝口悠生さんを広く知ってもらえたらという想いがまずあり、そして滝口悠生さんから更なる新しい1冊に出会ってもらえたらという想いのもと、フェアの準備をして参りました。

もしかしたら、このフェアで出会えた本が、「大切な一冊」になるかもしれない。例えそうならなくてもいい。「何か」につながる「何か」になれば。

最後にこのブログをここまでお読みいただいた皆様、そしてフェアに遊びに来てくださった皆様、遊びに行こうかなと考えてくださる皆様、そのすべての皆様に心より御礼申し上げます。

またこの場をお借りして、何度も何度もやりとりにご対応していただき、全面的にご協力いただいた滝口悠生さんをはじめ、新潮社佐々木さま、講談社堀沢さま、ランバーロールの皆様、歩きながら考えるの皆様、看板を作ってくれた元スタッフ(ありがとう!)フェア開催にご協力頂いた全てのご関係者の方々に、心より御礼申し上げます。多くのご縁に感謝。
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それでは、「滝口悠生の本棚」どうぞお楽しみくださいませ!
開催期間は8/31〜10/31まで。

※少しずつ棚の内容が変わっていくかも?

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フェアを終えて(2017.11.12)

約2ヶ月に渡り開催してきました【滝口悠生の本棚】
トータル売上冊数98冊。内、滝口悠生さん著作36冊
その他選書分62冊

フェアでご紹介した本が、本来の売場から売れていくことも多く、その動きもとてもうれしかったことのひとつでした。

期間中に滝口さんには2度ご来店いただきました。
サイン本の作成、原稿用紙に一筆書いてくださったり、
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フェアの最後には朗読会も開催。
著書や選書本から何冊か選んで読んでいただきました。
BGMも滝口さんセレクト。『エリザベス・コットン』など。
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懇親会では茄子のお料理を食べながらお客様とお話したり。
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フェアをスタートした当初、すこしの不安とたのしみが入り交じっていました。

2ヶ月間開催の大掛かりなフェアであること、滝口さんをはじめ、たくさんの方にご協力いただいていたこと、なによりお客様に届けたいという気持ちが強ければ強いほど、届かなかったらどうしよう、とこわかったのです。

成功したのか、届いたのか、それは正直私にはわからないし、判断することもできません。

でも確かに、お客様がフェア台をじっくり眺めている姿を何度も見かけることができた。
滝口さんの著作をレジまでお持ちいただけることが何度も何度もあった。
フェア見てるよ、と多くの方にお声掛けいただいた。
その度に、涙が出るほどうれしかった。


書店には毎日本当に多くの本が入荷します。

その中で、売りたい、届けたい、と思える本、そして実際に行動を起こして(フェアなど)何かしようと思える本に出会えたときはうれしい。
けれど時間をかけて本当に「実行できる」のは一握りの本だったりするのです。ぜんぶしたい。でもそれはできない。

そんな中、滝口悠生さんのフェアを開催し、実行できたことは書店員として、とても幸福なことでした。

これから先、書店員として悩んだとき、このフェアのことを思い出したりするのだろうとおもいます。

とにかくたのしかった。とてもたのしかった。

締めの言葉がたのしかったなんて、と思うけど、
どれだけその日疲れていても、結局「たのしい」に動かされ続けた数ヶ月でした。

ありがとうございました。みなさまに。
また次のたのしいことで、お会いできたらうれしいです。
2017.11.12
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地下鉄心斎橋駅から
御堂筋西側を南へ徒歩8分。「三津寺町交差点」を右折してすぐ。

○なんばから
御堂筋西側を北へ徒5分。「三津寺町交差点」を左折してすぐ。

 

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曲がってください。

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