January 07, 2009
【BOOK】原始の大地の光と闇。物語の奇跡。
いや、まさにため息モノである。20世紀紀行文学の最高峰のひとつ。私の心はしばしアフリカに飛んだ・・・
これからも何度となくページを繰るであろう宝物のような作品にめぐりあった・・・
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「厚く生い茂る蔓科植物を透かしてくる日光が、小さな点々や切れはしになってちらちらする深い原生林。そこを通り抜けて旅をする象の群れを見た。象たちは世界の果てに約束があるといった様子で、ゆっくりと、決然たる歩調で進んでいった」 本文より。
本書「アフリカの日々」は純粋な小説でなく、かつ、単なる記録ではない。紀行文・体験記・ルポ・自叙伝のどれにもあてはまらない。1914年から1931年なでの18年間、著者イサク・ディネセン(1885〜1962 デンマーク生まれ)はアフリカはケニアの高原で農園を経営していた。失意のうちにアフリカを離れ、歳を経るにつれ、アフリカは彼女の内部で結晶し、その精髄を取り出し、作品にしたものがこれだ。
「日の出前、光のうすれてゆく月の下を、殺戮を終えた王者ライオンが灰色の平原を横切って家路につくのを見た。銀色の草のなかに暗い通り跡をつけ、耳まで血にいろどられた姿を」本文より。
わたしは深夜、本書を読みながら、耳元にけものたちの息づかいを感じたすぐ近くにかれらの匂いを嗅いだような気がした・・・
本書はケニアで(夫のもとを離れて)農園を営んでいた著者が祖国で晩年、綴ったものである。ここではケニアへ渡った経緯や夫のことなどは触れていない。
あくまでもケニアの大地と生き物たち、そして土地の人々との日々の交歓が生き生きと繊細に、時に鋭く、時に温かく綴られている。来る者・去る者・生まれる者・死にゆく者。怒り・涙・孤独・そして強さ・・
「土地の人びとは人間のかたちをとったアフリカそのものだった。(中略)象やキリンのほうが彼らよりアフリカ的だとは言えない。土を耕し、家畜を飼い、大舞踏会をひらき、物語をしてくれるとき、それはアフリカそのものが歩き、踊り、もてなしてくれるのだ。
植民地は変わってゆく。私がいたころから見てもすでに変ってしまっている。農園で、あの国で、また平原や森の住人たちの何人かとの私の体験をできるだけ正確に記録すれば、それはある種の興味ある歴史になるかもしれない」 本文より。
引用ばかりで申し訳ないが、本書の表現があまりに素晴らしいからなのだ。各ページごとにワンフレーズ紹介したいくらだ。高貴かつ、すがすがしい。カポーティも一番尊敬する作家にディネセンの名をあげている。
ちなみにここで使っている画像は本書のものではない。PETER BEARDによる洋書写真集「THE END OF THE GAME- THE LAST WORD FROM PARADISE」である。ビアードはこの「アフリカの日々」を読んでアフリカに渡り、多くの写真を撮った。これがその作品集である。
(私見だがビアードの写真やコラージュより「アフリカの日々」の方がより「アフリカ」を感じる。写真のこのワイルドさがビアードの「アフリカ」なのだろう・・)
「アフリカの日々」河出書房新社刊 \2,940 税込。
BF 小説売り場 世界文学全集コーナー(池澤夏樹さんによる編集による現在刊行中のシリーズです。全24巻。現在12巻目まで出ています)で販売中。
同じ著者による文庫「バベットの晩餐会」も併売。
前述、ビアードの作品集は¥6195 税込。併売中。 by S
本書「アフリカの日々」は純粋な小説でなく、かつ、単なる記録ではない。紀行文・体験記・ルポ・自叙伝のどれにもあてはまらない。1914年から1931年なでの18年間、著者イサク・ディネセン(1885〜1962 デンマーク生まれ)はアフリカはケニアの高原で農園を経営していた。失意のうちにアフリカを離れ、歳を経るにつれ、アフリカは彼女の内部で結晶し、その精髄を取り出し、作品にしたものがこれだ。
「日の出前、光のうすれてゆく月の下を、殺戮を終えた王者ライオンが灰色の平原を横切って家路につくのを見た。銀色の草のなかに暗い通り跡をつけ、耳まで血にいろどられた姿を」本文より。
わたしは深夜、本書を読みながら、耳元にけものたちの息づかいを感じたすぐ近くにかれらの匂いを嗅いだような気がした・・・
本書はケニアで(夫のもとを離れて)農園を営んでいた著者が祖国で晩年、綴ったものである。ここではケニアへ渡った経緯や夫のことなどは触れていない。
あくまでもケニアの大地と生き物たち、そして土地の人々との日々の交歓が生き生きと繊細に、時に鋭く、時に温かく綴られている。来る者・去る者・生まれる者・死にゆく者。怒り・涙・孤独・そして強さ・・
「土地の人びとは人間のかたちをとったアフリカそのものだった。(中略)象やキリンのほうが彼らよりアフリカ的だとは言えない。土を耕し、家畜を飼い、大舞踏会をひらき、物語をしてくれるとき、それはアフリカそのものが歩き、踊り、もてなしてくれるのだ。
植民地は変わってゆく。私がいたころから見てもすでに変ってしまっている。農園で、あの国で、また平原や森の住人たちの何人かとの私の体験をできるだけ正確に記録すれば、それはある種の興味ある歴史になるかもしれない」 本文より。
引用ばかりで申し訳ないが、本書の表現があまりに素晴らしいからなのだ。各ページごとにワンフレーズ紹介したいくらだ。高貴かつ、すがすがしい。カポーティも一番尊敬する作家にディネセンの名をあげている。
ちなみにここで使っている画像は本書のものではない。PETER BEARDによる洋書写真集「THE END OF THE GAME- THE LAST WORD FROM PARADISE」である。ビアードはこの「アフリカの日々」を読んでアフリカに渡り、多くの写真を撮った。これがその作品集である。
(私見だがビアードの写真やコラージュより「アフリカの日々」の方がより「アフリカ」を感じる。写真のこのワイルドさがビアードの「アフリカ」なのだろう・・)
「アフリカの日々」河出書房新社刊 \2,940 税込。
BF 小説売り場 世界文学全集コーナー(池澤夏樹さんによる編集による現在刊行中のシリーズです。全24巻。現在12巻目まで出ています)で販売中。
同じ著者による文庫「バベットの晩餐会」も併売。
前述、ビアードの作品集は¥6195 税込。併売中。 by S