August 13, 2008

【BOOK】カレーニンの微笑み

P1010125ぼくたちの人生は後になって誰も読みそうにない一冊だけの本なのだ。−池澤夏樹氏解説より。
「存在の絶えられない軽さ」 ミラン・クンデラ著 を紹介します。この濃密な空気感、主人公達(犬のカレーニンさえも)の圧倒的な存在感は何だろう? 選択は軽く為されるのに、その結果の何と重いことよ。人の行く末の何と寄る辺無きことか。そんな柄にも無いことを考えてしまうほどの説得力がこの本にはある。                                      

あの有名なプラハの春を背景に彼らの人生選択とその結果が「軽く」綴られる。リハーサルの無い舞台に初めて上がる役者のような彼らの人生。いや、僕達の、と言うべきか。そして「死」は選択の余地の無いまま突然にやって来る。全編に漂う生命の躍動感と死のイメージ。                   
私の筆力が足りずうまく伝えられないのがもどかしい。是非本書を読み、主人公達を身近に感じ、一喜一憂して欲しい。

最後に一言、
私の中で犬のカレーニンは文学史上最も愛おしい犬になった。       

当店地下海外文学売り場 河出世界文学全集コーナーにて発売中。        ¥2,520税込み。                               
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